ちょいと引いた目で、留学の意味と歴史について考えてみた。
留学という言葉はいつから使われているのだろうか。
最近だと語学留学が主流になってきており、 フィリピン留学や親子留学、 ワーキングホリデーなどの新しい形の留学を
ニュースで目にする機会も増えているのではないだろうか。
ここでは、そもそも留学って何だろうと引いた目で考えながら、
歴史的な変化を考察していく。
1.留学(study abroad) とは?
→読んで文字のごとく「留まって学ぶ」こと。
2.留学をする意味はなんだろうか。
教育論の古典であるルソーの『エミール』(1762)の 第 5 編の最後に「旅について」という部分を引用し留学は 「教育の総仕上げである」と理由に挙げている。
```
「観察すべき事実はどんな種 類のことでも、読んではならない、見なければならない」。
「一国民しか見ていない者は、人間というものを 知ることにはならない」。
「人間が自分の同国人しか知らなくてもいいのか、あるいは、人間一般を知る必要があるのか」。
ルソーはこう問いかけ、教育の総仕上げとして外国旅行=留学を薦めるのです。
```
上記を言い換えると教育の総仕上げとして、
自分が学んだものを、自国以外の異文化の中で試す機会といったところだろうか。
人間的な人格形成の要素にも寄与すると言える。
3.留学の歴史的変遷(国から組織、個人へ)
改めて、
を時代の変遷を追って考えていく。
結果、遣唐師の時代から考えると大幅にグローバル化が進んだことで
国 → 会社 → 個人の時代になっている。
今だと当たり前ですが、海外へ行くことなんて想像もつかない時代からの変化w
① 国家の威信をかけた留学段階
目的:お国のために技術を学んでくる。職業や技術
誰:遣隋使、遣唐使、
岩倉使節団に代表される使節団。
→明治期以降、海外の優れた制度を輸入することや、海外の先進的な事例の調査、かつまた国際的な人脈形成、さらには国際的に通用する人材育成を目的として、官費留学が制度化された。 wiki
→当時の日本経済を考えると、国家プロジェクトじゃないといけない。。。
『日本のお金』により明治4(1871)年の「新貨条例」で1円は1両と等価。当時1円=1米ドル。
参考として明治4年(1871)当時の1円(=1両)の価値はどのくらいか物価により示す。
『物価の世相100年』より、大工の日当50銭、米価1升5銭5厘、銭湯1銭、円価1円=酒1斗。
②企業の海外進出段階 【戦後から高度経済成長】
目的:会社のために(自分のために)
誰:企業の幹部候補
→1968年 日本はGNPが自由主義経済国内でアメリカに次いで
第2位になってから企業の海外進出が加速!
→その後、経営学、金融工学の時代になり、MBA注目されたりして加速。
③個人の海外留学段階
目的:自分のために
誰:わたし
・1985年のプラザ合意後の円の価値の高騰。 (株安になってバブル崩壊したけど、個人の海外への障壁が減った?)
ドル円は直前の240円台から1988年に120円台まで下落しました。
・大学進学が2004年をピークに増え、 その後、減少してきている。
http://toyokeizai.net/articles/-/12936
・大学進学は減っているが、
個人でのワーキングホリデーや語学留学といった形態が増加している。
旅行と留学の境界線も興味深い
4.まとめ
新たな技術・知識を国家のために学びに行くと言う目的から、個人が世界を知る・異文化を知るといった要素が強くなっていると言えるだろう。
国や組織からの派遣から、個人で行ける時代になってきている中で、進学や技術教授にとらわれない留学という形が最近目立ってきたと言える。
またグローバル化により情報の流動が活発になっていること、そこでしか学べないものが減ってきていることから
進学以外での目的の多様化が起こってきていると言えるだろう。もちろん日本以外で生きる道を探す海外移住者についても考慮しなくてはならない。
今後はいまの留学の種類と目的についても調べていきたい。
「了」